大きくなったり 小っちゃくなったり
こんにちは、ぷにぷにアザラシです。今回紹介する論文はこちら!
Fatty acid aveilability sets cell envelope capacity and dictates microbial cell size
今回はちょっと今までとは雰囲気が変わって菌の話です!みなさん、菌といわれるとどんなものを想像するでしょうか?大腸菌やカビのような身体に悪そうなもの、日本酒やパンを作るのに欠かせない発酵菌、無害そうなアメーバ、ゾウリムシ。もしかするとインフルエンザをおこすようなウイルスや、高校生物を習ったことがある方ならバクテリオファージなどを菌と見なす人もいるかも知れません。今回は、ウイルスやファージは少し置いておいて、単細胞の菌の話です。
私もこの論文を読むまで知らなかったのですが、菌の大きさは、周りの環境で大きく変化します。単純に書けば、栄養がなければ菌は小さくなり、栄養豊富なら大きくなるのです。まぁ多少は、とは思いますが、栄養がなくなるとなんと1/3の大きさにまで縮まってしまうというのですから驚きです。程度はともあれ、想像はたやすいこの現象ですが、実はどうして大きさが変化するのか、細かいことは分かっていませんでした。今回はそこを明らかにした論文になります。
- 大腸菌を使って、炭化水素やタンパクではなく、脂肪酸の量によって菌の大きさが制御されることを突き止めた
- 枯草菌や酵母でも同じことが起こることを明らかにした
- ppGppという分子が、脂肪酸の量と菌の大きさとの関係を保っていることを明らかにした
ここでおもしろいのは、大腸菌と枯草菌、酵母がすべて、脂肪酸によって菌の大きさを制御するという同じ仕組みを持っている、というところです。なぜなら、大腸菌と枯草菌、酵母は、全然違う生物だからです(大腸菌はグラム陰性菌類、枯草菌はグラム陽性菌類、酵母は真菌類に属します)。例えて言えば、サンマ(魚類)とカエル(両生類)とアザラシ(ほ乳類)が同じメカニズムで太ることを見つけた、という感じでしょうか(あれ、なんか想像つきそうな気もするぞ。。。)。しかし、その細胞の持つ仕組みがそのまま個性になるような単細胞生物のこの3つが、自分の大きさを大きくしたり小さくしたりする方法をあえて変更せずに、今まで進化してきたというところには、興味が湧きました。一体どこまでが共通してて、どこからが菌の個性なのか、哲学みたいな話ですが、分かってくると楽しい話なように感じます。それにしても脂肪で太るとは、ヒトにも似てるな、とちょっと思いました(笑)。
それでは今日はこのあたりで!最後まで読んで下さり、ありがとうございました!