クーラーにあたると遺伝子が変わる?
こんにちは、ぷにぷにアザラシです。最近暑くなってきましたが、みなさまお元気でしょうか?私は暑いのが嫌いなのでもう秋を待ち遠しく思っています 笑。さて、本日紹介する論文はこちらです!
Body temperature cycles control rhythmic alternative splicing in mammals
私たちが普段生きてゆけるのは、食べたりした栄養が酵素の力によって分解され、エネルギーが取り出され、それを利用しているからです。そんな大事な酵素は、アミノ酸があつまってできています(タンパク質)。で、酵素は遺伝子(DNA)の情報を元に作られるのですが、時折、同じ遺伝子から違う酵素が出来ることがあります。例えばDNAに“アイウエオ”と書いてあるとき、ある時は“あいうえお”という酵素になるのに、ある時は“あいえお”という酵素になることがあります。このような、ある一部が抜ける現象現象を、“スプライシング”といいます(正確には、RNAと呼ばれる、DNAからタンパク質を作る際に中継をする物質が、スプライシングを受けます)。
スプライシングを行う利点は、同じDNAから機能の異なる酵素を作ることが出来る点です。例えば目が覚めている時と寝ている時では、必要な酵素が違いそうなことが想像できると思います。そういうときに、スプライシングを上手く利用して、酵素の機能を目が覚めている時と寝ている時で変えてやれば良いのです。
私たちは夜になると眠くなり、朝になると目が覚めます。少しの間であれば、光の全く当たらないような場所でも、自然と眠くなり自然と目を覚ますことが出来ます。この一日を自動的に感じる仕組みを「概日リズム」といいます。概日リズムは脳にある視交叉上核とよばれるたった1~2 mmしかないような部位で、体全体のリズムを作っています。
この概日リズム、実はスプライシングも制御できることが知られていました。しかし、どうやってそんなことを行っているのか、よく分かっていませんでした。今回の論文は、その仕組みを明らかにしたものになります。
- 温度に感受性があるスプライシングを見出した
- 概日リズムが体温を介して、スプライシングを制御することを明らかにした
- 2.には、SRSFと呼ばれるタンパクのリン酸化が関与していた
- 3.により、tata box binding proteinがスプライシング制御を受けることで、多くのタンパクの発現が制御されていた
やや難しいので3と4は省略して、詰まるところ、「体温の日内変動によって、同じ遺伝子から生まれてくるタンパクが変わっていたよ」という内容です。いや、すごい。なんとなく、そういう現象はありえるかも、とは思いますが、それをちゃんと証明しているところがすごいです。
しかし、こういうのを見ると、例えば風邪で熱を出している時だとか、真夏の炎天下にいる時とか、逆に猛吹雪の中にいる時とか、そういった体温に影響しかねないような大きな温度の影響って、どれくらいあるのかな、と気になりました。案外、暑い時は暑いのに耐えられるように遺伝子もうまく対応しているのかも知れませんね。もし本当にそうなのなら、夏にクーラーにあたってしまったら、もう暑さには耐えられないのかも知れません。いやはや、恐ろしい。。
それでは今回はこのあたりで。読んで戴きありがとうございました!