The Scientific Ocean

誰にでもわかりやすいように生命科学を解説しようとするアザラシのブログ。

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神経のつながり方を知る新しい術

こんにちは、ぷにぷにアザラシです。氷山が欲しい。。
さて、暑さに参っていましたが、久しぶりに更新しようと思います!今日紹介する論文はこれ!

An optogenetic toolbox for unbiased discovery of functionally connected cells in neural circuits

今回は背景の説明や、この論文の細かいことは説明しません。この論文は、発見したことというよりも、その実験技術に魅力があるからです。

この論文は、ゼブラフィッシュと呼ばれる熱帯魚(の子供)を使って、目の神経がどんなふうに繋がっているかを調べています。そのために「蛍光タンパク」と呼ばれるものを使って、神経細胞を光らせて、可視化しています。で、さらに繋がりがわかりやすいように、神経ごとに色が変わるように遺伝子を細工しています。

・・・と、言葉だけではわかりにくいかと思います。奇遇にもこの論文は「オープンアクセス」と呼ばれる類いの、無料で読める論文ですので、今回は図を引用したいと思います。というわけでこの図を見よ!

 

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aが遺伝子の解説、bがゼブラフィッシュの子供の目の部分の拡大図、cがその実際の写真、dが使った顕微鏡の構造図、eが写真の拡大図です。

この色がついた神経細胞、実は色毎に新しい機能を獲得しています。赤(マゼンタ)の細胞は、光を当てられると強制的に活動する機能、緑の細胞は、自分の活動に応じて緑色の強度が変化する機能を有しています。

つまり、この魚を使って実験することで、「赤の神経細胞が活動すると、緑の神経細胞がどう応答するか」がわかるわけです。一見、それだけ?、って感じるかも知れませんが、遺伝子をうまくいじって赤と緑のどちらかの色しか獲得できない(つまり赤と緑両方とも光ることはない)ように工夫しているところは見事ですし、細胞1つという単位でこの現象を明らかにするのは、今の技術では非常に難しく、その難関を打破したこの論文の方法は、今後さまざまな箇所で利用されることと思います。

最近、魚を使った神経系の論文が増えてきているように感じます。この論文のように、マウスでできなくても魚ならできることも多いですし(魚は小さくて透明だから)、今後の発展が楽しみです。

 

全く畑違いなので、あまり詳しい説明が出来ませんでしたが、これで終わりたいと思います。最後まで読んで下さり、ありがとうございました!

 

引用論文(上にリンクあり)
Förster, D., et al., An optogenetic toolbox for unbiased discovery of functionally connected cells in neural circuits. Nat. Commun., 8:116 (2017)