辛さは何倍?
こんにちは、ぷにぷにアザラシです。
最近、Twitterでこんな発言を目にしました。
辛いカレーが好きなので、お初のカレー屋さんに行くと大抵は3倍辛くらいで頼む。そこの辛さの基準が分からないから、最初はこれくらい。で、「なんだ全然いけるじゃん」と思ったら、次は10倍くらい頼むと、まあ〝感覚的に辛さ2倍〟くらいかなと感じている。
— AXION (@AXION_CAVOK) September 17, 2018
“辛いカレーが好きなので、お初のカレー屋さんに行くと大抵は3倍辛くらいで頼む。そこの辛さの基準が分からないから、最初はこれくらい。で、「なんだ全然いけるじゃん」と思ったら、次は10倍くらい頼むと、まあ〝感覚的に辛さ2倍〟くらいかなと感じている”
実は私、昔 “辛みセンサー” の研究をしていたので、ここはばっちりお応えしたいと思います!笑
人はどうして辛さを感じるのか
それは、舌に辛みセンサー、通称 TRPV1 というタンパクが存在しているからです。TRPV1は、辛さの正体である カプサイシン と結合して、電気的な信号を生み出します。それが脳に伝わって、辛い!と感じるわけです。
ということで、辛さの強さは、TRPV1がどれくらいカプサイシンに反応するか、に依存します。それでは、TRPV1とカプサイシンの関係はどんな感じなのでしょうか?というと、こんな感じになります。
(値は実験値ではありません、論文データを基に適当に作っています)
横軸を濃度の対数、縦軸を反応率にすると、こんな感じの関係になります。
カプサイシンが10の-6乗 mol/L(1マイクロモル)で、半分のTRPV1が活性化します。
この図からわかるように、濃度が高すぎると既に天井に達していて、それ以上は増えませんし、逆に低すぎればほとんど感知することができません。
(このカーブは生物学的にはとても大事で、シグモイド曲線といいます)
結論
というわけで、「辛さは単純にカプサイシンの濃度には比例しない、どれくらい辛くなるかは、はじめのカプサイシンの濃度による」というのが、アザラシの答えです。
・・・なんか中途半端な答えですいません、でもこれが事実です 笑
ちなみに、カプサイシンの濃度が 0.3 マイクロモルを越えると、辛さを示す注意書きが必要なようです(農水省のこのページ参照)。ということは「辛い!」と感じる程度では、まだTRPV1は半分も活性化していないということですね。逆に全部活性化したらどれくらい辛いことやら(痛そうです)。。。
ちなみに
辛いもの、食べているとだんだんと慣れてきますよね?
実はこれは、辛いものを食べすぎると、TRPV1センサー本体が舌の表面から無くなってしまうのです!だから、辛いものをいくら食べても、既に辛みセンサーが無いので、辛さを感じることができない、というわけです。TRPV1がずっと活性化していると、TRPV1を持つ細胞は死んでしまうので、細胞が自分を守るためにそうするのだと思います。本当の理由は神様しか知りえませんが。。。
以上になります!読んで下さってありがとうございました!