The Scientific Ocean

誰にでもわかりやすいように生命科学を解説しようとするアザラシのブログ。

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今の薬剤師の実体(twitterアンケート結果)と考察

こんにちは、ぷにぷにアザラシです。初めて?薬剤師関連の投稿をします。

背景

 薬剤師とはご存じの通り、今なら6年間 薬学部で学び、その間に薬局や病院へ実地実習へ行き、研究室で研究をこなし卒業発表をし、国家試験を受験して、合格した人々のことを指します。
 あまり知られていませんが、医学部とは違い、薬学部では教育の一環として研究に従事することが定められています。なので、実習などで抜けることを考えても、現行の薬剤師は全員、1年半くらいは研究に従事した経験があるのです(逆に医師の多くは、大学生時代にはあまり研究を経験しない)。おそらく一般の人にとって薬剤師は、最も身近にいる、医療系の研究経験者と言っても間違いではないでしょう。
 ただ昨今の薬剤師の立場は、個人的には少しかわいそうな状況にあります。確かにバイタル(心拍や呼吸音など)は取れないけれども、一部とはいえ看護師に薬の扱いで先を越されるような現状*1は、薬のスペシャリストを名乗るのであれば、何とかしないといけないでしょう。

しかし、もちろんただ「処方権が欲しい」と簡単に言うだけではダメでしょう。それ相応の、興味などとは関係のない、覚悟を持った勉強が必要だと私は思います。そういったことを考える中で私に生まれたのは、「薬剤師は本当に勉強が好きなのか」、という問いでした。

そこで先日、以下のようなアンケートを、私のtwitterアカウントを用いて、行ってみたわけです。

  1. 大学の講義や研究室の実験が好きだったか
  2. 自分の所属(学生・薬剤師・研究者・その他)

以下にその結果を示します(実際のツイートは末尾に貼ってあります)。

 

結果

1.に関しては、リツイート等、ご協力頂けたおかげで、527票もの回答を得られました。以下がその結果です。講義が好きな人は全体の28%、研究が好きな人は全体の47%でした。

f:id:punipuniazarashi:20181022141355j:plain

* 色の説明 (グラフもベン図も、同じデータ由来です)*
 赤:大学の講義が好き、研究室での研究は嫌い
 黄:大学の講義は嫌い、研究室での研究は好き
 橙:どちらも好き
 白:どちらも嫌い

 

2. に関しては少ししてからツイートを追加したこともあって、107票しかありませんが、ある程度は1. の回答者の所属を反映していると仮定しています。以下に結果を貼ります。

f:id:punipuniazarashi:20181022141348j:plain

考察・感想

今回のアンケートは、2. の結果より、約半分が薬剤師、約4割が学生でした。なので「薬剤師は本当に勉強が好きなのか」という問いの答えを探るという目的については、該当する薬剤師の回答や、現在勉強中の学生の回答が多いため、ある程度は満たしていると見なします。その上で1. の結果を考察します。

 

 まず、全体の約半分が研究好きと答えたことについて。大学によっては、自分の意思通りに研究室を選べない場所もあるはずですが、それでも半数が研究を好き、と答えたことは、とても良いことだと思います。

 

しかし問題は講義でしょう。講義が好きな人は全体の3割に満たなかった。個人的にこの結果は、研究に力を入れて講義は手を抜いている大学教員の姿を浮き彫りにしているように感じます。実際の薬剤師業務に必要な知識の多くは、研究室の研究ではなく、大学講義から得られるはずです。そのことを薬学部教員は意識すべきなのかも知れません。これは、私も含め、薬学教育に関わる人間が改心すべきでしょう。

 

気になったのは、どちらも嫌いな人が4割もいたことです。日本全体の平均的な「勉強の好き嫌い度合い」を私は知りませんので、何とも言えませんが、個人的には予想以上に多いな、と感じました。この人達は上記で指摘したように、希望通りの研究室に入れていれば結果が変わったのか、大学講義がもっと惹きつけるようなものであれば結果が変わったのか、定かではありません。

 しかし、twitter上というバイアスのためだとは思いますが、活動的な薬剤師の方に限って、その活動が「副業」のブログでの利益等に傾きがちな現状を見ていて、私は少し悲しく感じています。冒頭で「昨今の薬剤師の立場は、個人的には少しかわいそうな状況にあります」とは書きましたが、副業に専念したいのであれば、今のままでいいのでは?と感じてしまうこともあります。

 決して簡単に入れる訳ではない薬学部に入り、ある程度は嫌でも勉強しないと合格できない国家試験に合格した薬剤師の方々の4割が、勉強が嫌いだとは私にはあまり信じられず、現実の残酷さをまざまざと見せつけられた気分でした。

 

おそらく、看護師のように、医師指導下での処方権を将来得た場合、それを実行するのは病院薬剤師では無く、在宅医療に関わりやすい薬局薬剤師のみなさんでしょう。今後の薬剤師はどうあるべきなのか?この結果を見て少し考えてしまいました。

 

 

まだまだ若造で非薬剤師の私が、勝手に思いつくままを書いたまでですので、どうぞこれをたたき台に議論して頂いて構いません。叱咤激励も受け付けます。読み方によっては、大変失礼なことを書いていると私も気付いております。本当に申し訳ございませんでした、この場を借りてお詫び致します。

それでは長文駄文を読んで頂き、本当にありがとうございました。

 

ps.

当時用いたツイートは以下の通りです。

 

 

*1:特定看護師と呼ばれる制度によって、資格を得た看護師は医師の指示範囲内で、疼痛や不眠等に対する薬を自己判断で処方して良いことになっています。詳しくはこちら