中の世界と外の世界
こんばんは、ぷにぷにアザラシです。
今日は第2回「電気生理学」のコラムを書きたいと思います。
(ちなみに第1回はこちら)
前回紹介したように、私たちの体の中のイオンは厳密に調節されています。
では、もう少しその中身を見ていきたいと思います。
ご存じの通り、私たちの体は、水や油が単純に詰まっているわけではありません。口があってそこから食道や胃というものがあって小腸があって大腸がある。さらには別の道に行けば気管につながって気管支に分かれて肺胞に到達する。肺胞には血液が流れていて、その血液の道である血管は体中を巡り、心臓を中心にぐるぐる回っている。その血液の中にも赤血球や白血球があって・・・と書き出すとキリがないくらい、複雑な作りになっています。しかし今取り上げた見た目の全く異なるさまざまな体の各部はすべて、似たようなものの集まりでできています。それが「細胞」です。
細胞。おそらく「iPS細胞」といった言葉で聞いたことがある人も多いと思います。どんな見た目をしているか、といいますと
といった感じです(フリー素材の絵ですが)。各細胞はさまざまな形状をしてはおりますが、すべての細胞はとても単純化するとこんな構造をしています。
前置きがかなり長くなりましたが、今日の話題に入ります。実は前回お伝えしたイオンですが、細胞の内と外とでかなり様子が違うということが分かっております。どれだけ違うかといいますと、こちら!
はい、これくらい違います(目玉みたいなのが細胞と思ってください。文字の大きさが濃度を反映しています、濃度の値は参考までにしてください)。
(注意:mMやnMは濃度の単位で、mMはnMの百万倍です)
細胞の外には基本的にナトリウム(Na)や塩化物(Cl)イオンが多いのに比べて、細胞内にはカリウム(K)イオンが多い、というのが特徴です。カルシウム(Ca)イオンについても、他と比べると濃度自体は小さいのですが、細胞の中と外を比べると一万倍も外の方が多いようになっています。
前回「カリウムは、高濃度になると死に至る」と書きましたが、これは細胞内に多いはずのカリウムが細胞外に増えてしまうことで、細胞(特に心臓)がうまく働くことができなくなるために、結果的に死んでしまうためです。
今回は細胞の内と外でイオンの様子が違うということを紹介させていただきました。次回はこのイオンの様子が違うことで生まれてくる細胞のある特徴について紹介させていただきます。やっと、どうしてこのような知識が「電気生理学」と呼ばれるのかが理解できるかと思います。
それではまた次回もよろしくお願いします!