The Scientific Ocean

誰にでもわかりやすいように生命科学を解説しようとするアザラシのブログ。

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細胞は電気回路

ぷにぷにアザラシです。

 

今日は「電気生理」のコラム第3回をお届けします。

(ちなみに第2回はこちら

 

前回までに、細胞の外と中ではイオンの様子が異なることをお伝えしました(外にはナトリウムやカルシウムが多く、中にはカリウムが多い)。どうして細胞の外と中でイオンの様子が異なるかというと、「トランスポーター」と呼ばれる“ポンプ”が一生懸命ナトリウムを外へ、カリウムを内へ、というようにくみ出しているからです。つまり、本当は、ナトリウムは細胞内に、カリウムは細胞外へ動きたいのに、それが“ポンプ”の働きによって抑えられているのです。

では、そんな状況でもしも、細胞に“”が開いたらどうなるでしょうか?たちまち細胞内へナトリウムが入り、細胞外へカリウムは出て行ってしまうでしょう。実は細胞にはこのような“”が存在します。それが「チャネル」と呼ばれるものです。

多くの「チャネル」は普段閉じられています。しかし、いざという時に開いて、細胞のイオンバランスを壊します。イオンバランスを壊すとどうなるのでしょうか?例えば細胞の外からナトリウムが入ってきた時を考えましょう。ナトリウムというのは「+(プラス)」に帯電しています。プラスが中に入ってくるということはどういうことでしょうか?ここで、おそらく皆さんが習ったであろう「電気回路」について振り返りたいと思います。

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プラスが移動するとはすなわち、「その方向に電流が流れる」ということを意味します。つまり、細胞に電気が流れるということです!実は私たちが普通に生活している間に、体中の細胞はビリビリと電気を流して自分の役割を果たしたりしているわけです。電気を流してどんなことがあるのでしょうか?一番有名なものは、ここでも昔取り上げたように、「神経細胞」と呼ばれる体中の電線が情報を脳に伝える時に大活躍しています(神経細胞の記事はこちら)。神経細胞に電気が流れるのは、例えば私たちがヒジの柔らかいところを机の角にぶつけた際にジーンと来るような感覚から、何となく想像できるのではないでしょうか?おそらくあのぶつけた時には、かなりの電気が流れているのだと思います。

もしかするとよくここの記事を読んでくださっている方は、前回の精子の記事にも「チャネル」が出てきたことを覚えておられるかもしれません(精子の記事はこちら)。しかし、この時は電気ではなくて、カルシウムイオンが大切な役割を果たしています。生き物って難しいものです。

ところでこんな電気の流れってどうやって測るんだろう?と思われた方も多いのではないのでしょうか?しかし実際、とある実験をすることでこの電気を私たちは測ることができます。そのことについてはまた次回触れたいと思います。次回で電気生理についてのコラムは最後にしようと思います(読者数を見ていると論文紹介の方がよく見られていそうですし)。

では、また次回もどうかお付き合いよろしくお願い致します。

ぷにぷにアザラシでした!